図書館で偶然見つけて借りた一冊。
ド・ローラ節子さんのことは、以前着物雑誌で知った記憶があります。
華やかで個性的な装いが印象的で、長く海外生活をしてきた方ならではの大胆な色使いに憧れを抱きました。
表紙の色無地が、母から譲り受けた私の着物と似ていたこともあり、着こなしの参考になるのではと思ったのが手に取ったきっかけです。
本の概要
この本はきものを主題にしたものではなく、日本的なおもてなしの工夫を紹介する内容です。
ただし、随所に和装が取り入れられ、節子さんらしい自由で華やかなコーディネートがふんだんに盛り込まれています。
印象に残ったポイント
特に心に残ったのは、お菓子作りのレシピが豊富に掲載されていたことです。
私は子どもの頃からお菓子作りが趣味だったので、素朴な材料と作り方に懐かしさと新鮮さを感じました。
近頃発行されるお菓子の本は材料が多く専門的になってきていると感じていたのですが、この本ではそんなことはなく素朴な材料でできるものが多く、手作りの魅力にあふれています。
料理やケーキを供する際に、ガラスの器の下に花びらを敷き込む工夫などは、とても爽やかで美しく、すぐに試してみたくなるアイディアでした。
自分の体験とのつながり
読んでいて思い出したのは、子どもの頃に憧れていた「ミス・マープルのような生活」
マープルは英国のミステリー作家、アガサ・クリスティーが創り出したおばあさん探偵です。
ミス・マープルになりたい。
編み物をしながら友人と談笑する。
日常に起きる事件を明晰な頭脳で解決する。
マープルみたいに暮らしたい。
そう思っていました。
小学生がおばあさんになりたいだなんて随分おかしな夢を持ったものですが、英国のカントリーサイドの生活が途方もなく魅力的に映ったのです。
忘れていたそんな憧れと夢を、この本を読んで思い出しました。
節子さんの暮らしぶりはヨーロッパ社交界で培われたものですから、私の現在の質素な生活とはあまりにかけ離れています。
それでも、はなっからできないと決めつけるのもなんだか違うような気がしてきました。
小さく取り入れることもできるのは?
できない理由を探すより、できることを探してみて?
本を読み進めるうちに、そんな問いかけをずっと自分自身にしていることに気づきました。
きものの着こなしで参考になった点
本の表紙の色無地によく似ている母から譲られた私の着物は1つ紋付きで、普段に着る機会があまりなくここまできたのですが、節子さんの着こなしを見ていたら日常に着ても良いような気がしてきました。

日常に着るなら紋は隠した方がいいよね?
一番簡単なのは羽織を重ねることだけど、できる工夫は他にもあります。
刺繍紋を上から重ねて紋を完全にかくしてしまうとか。
加賀の背守押絵紋を上からつけるとか。
真剣になんとかしようと思えばやり方はちゃんとあるのがきものの世界の素晴らしいところ。
どの方法がいいかゆっくり検討してみようと思います。
それと、この色無地をこれまであまり着用できなかったのは、色がどうも派手過ぎると感じていたからもありました。
母は50歳くらいで作ったらしいのですが、仕立て上がってすぐ派手過ぎると感じて、結局一度も袖を通さなかったそうなのです。
その話をきいていたので、母が派手と感じたのと同じ年齢に自分がなって、私もやっぱり無理なのではと遠ざけてしまったのですが。

仕立て直しました。
確かに大人しい色ではないけれど。
これくらいの華やかさはきものの世界ではありよね?
現に節子さんが素敵に着こなしていらっしゃるし…
節子さんは帯揚げをこの着物とほぼ同じ色(もしかしたら着物の残布かも)にして、着物となじませているのですよね。
色数が少なくなるので、スッキリして良い方法かもしれません。
それに帯も縞模様なので少し気軽な感じがしますね。
華やかな色無地もこのようにカジュアルダウンできるなら、私もトライできるかもしれません。
まとめ
『和ごころのおもてなし』は、きものや和の暮らしを楽しむ人にとって、夢を広げてくれる一冊です。
お菓子作りや器の工夫、自由な着物コーディネートから「できない理由を探さず、好きなことを取り入れてみよう」という前向きな気持ちをもらいました。
小さな工夫でも夢が叶ったと感じる瞬間があるはず――そう思えたことが、この本を読んで得た学びでした。
おまけ:この記事に関連するおすすめ
✨節子さんが親友であるマドレーヌさんをお茶に招待した際に、薔薇をかたどったマドレーヌを焼いておもてなしするのを見て、私も薔薇の焼き型持っていることを思い出しました。最近使っていないので忘れていました。楽天市場で買ったものです。焼きあがったあとスルっと型から離れるので便利。薔薇の形のお菓子は、頬張るときの喜びが2倍にも3倍にも膨らみますよ❤
✨無地の着物に縞の帯がさりげなくて素敵だなと思って、縞の帯を探してみました。
✨縞の名古屋帯を探していて、大変貴重な工芸品・伊兵衛織の帯を見つけたのでご紹介します。糸が供給できなくなり、現在は生産が終了しているそうです。素朴で温かみのある風合いが特徴。染めの色無地などには質感があわないかもですが、紬にあわせたらとても素敵でしょうね。


コメント