母から譲られた帯の色を「日本の色辞典」で調べてみた
母から譲られた八寸名古屋帯があります。
博多帯のような地風で、ぱっと見は強めのオレンジ色。

着付けを習い始めた頃、母の箪笥で見つけたときの第一印象は「えっ、こんなオレンジ無理…」というものでした。
洋服ではグレーや黒が多かった私には、“オレンジ=派手・古臭い”というイメージが強かったのです。
正直なところ「あるならもらうけど、好きではない」という感覚でした。
ところが最近、この帯の見え方が少し変わってきました。
合わせてみると“無難に合う”帯だった
着物に合わせてみると、意外や意外。
「ベストではないかもだけど、なかなか良い」という立ち位置の帯だと気づきました。
洋服の感覚だとオレンジは難しい色ですが、着物の世界では色の組み合わせのルールが少し違うようです。
そこでふと、「そもそもこの帯の色って、なんていう色なんだろう?」という疑問が湧きました。
私は勝手に“昭和のオレンジの帯”と呼んでいたのですが、それって本当に正しいのか?
もっと適切な色名があるのでは?
そんな気持ちになったのです。
色名を調べるときに頼りになる本
私はこういう時、必ず本棚から取り出す本があります。
🍀『日本の色辞典』(吉岡幸雄)
🍀同じ本ですがこちらは中古でお買い得です。
和色の由来や文化的背景まで丁寧に解説されていて、
色の意味を知るのにとても役立つ一冊です。
帯の色に近いのは「茜色」?
まず赤系のページをめくっていくと、
帯の色に近いと感じたのが 茜色。
空の澄んだ日に、太陽が光り輝いてみえるような、赤にわずかに黄が差し込んだような色
(赤系の色28ページ)
太陽の光を思わせる色。
帯の印象とどこか重なります。
さらに近いと感じたのは「曙色(東雲色)」
ページを進めると、もっと近いと感じる色がありました。
日本のような山が多い地域にだけある色名かもしれない。山の端から太陽が昇る前、そのわずかな光が反射して空が白み始める。
(赤系の色37ページ)
この説明を読んだ瞬間、
「あ、なるほどね」と腑に落ちました。
太陽の光が生まれる瞬間の色。
だからこの帯は、いろんな着物に合わせても不思議と馴染むのかもしれません。
日の光の色は、どんな色にも寄り添うのだと思うと納得できます。
“昭和のオレンジ”から“曙色の帯”へ
色の名前を知ると、帯の印象がまったく変わります。
“昭和のオレンジ”と呼んでいた頃は、
どこか古臭くて扱いにくい色だと思っていました。
でも“曙色”と捉えると、太陽が昇る瞬間の色、新しい一日の始まりの色。
なんだか縁起が良く、帯そのものが明るい力を持っているように感じられます。
色の名前ひとつで、こんなにも捉え方が変わってくるのです。

日本の色は奥深い
『日本の色辞典』は、色の意味だけでなく、江戸時代の暮らしや王朝文学の衣装など、色にまつわる文化的な背景まで知ることができる本です。
今回のように「手持ちの着物や帯の色を調べたい」という時にもとても役立ちます。
色の名前を知ると、着物の世界がもっと楽しくなる。
そんな体験をさせてくれる一冊です。
『日本の色辞典』については、こちらの記事でまとめています。

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