ネットで着物を手に入れるとき、写真だけでは分からないことがあります。
ヤフオクで憧れの泥大島を迎えたのですが、届いてみると八掛の色味や質感に悩みが…。
仕立て直しを決意した経緯をまとめました。
ヤフオクで泥大島を落札
3年ほど前にヤフオクで泥大島を落札しました。
本場奄美大島の証紙がついた純泥染めの実に良い着物です。
しかも新品未使用のしつけ付き。
当然キズ汚れは一切ありません。
お買い得(1万円未満)にお迎えできたことにホクホクだったのですが、届いてみたら問題ありありでした。
届いてみてわかった裏地の問題
まず八掛の色の問題。
赤は好きだけどいくら何でも赤すぎる。
赤い八掛は好きな私ですが、この赤はどうしても無理…。
オークションの画像ではちらっとしか見えなかったので油断していました。
ですが色が赤なのは入札する際にわかっていたことですし、こちらの見込みが甘かったという見方もあるのでそこは仕方ありません。

深刻なのは素材の問題でした。
テラテラ&ペラペラしているのです。
これは八掛だけじゃなく胴裏も同様なのです。
一瞬で化繊とわかるシロモノなのでした。
「こんないい着物にこんな裏を付けるなんて」と愕然。
入札する時には、まさか裏がシャカシャカした化繊だなんて想像もしませんでした。
改めて商品ページを見てみると、裏が化繊とは書かれていませんでしたが、わざわざ記さなかっただけで、表地が本物の大島紬である以上嘘ではないという内容でした。
茶泥が似合う?新しい発見
ただ、嬉しい誤算もありました。
ありがたいことに羽織ってみると非常に似合ったのです。
私は基本的に茶色が似合わないので、これまで茶泥にはトライしたことがなかったのですが、これは嬉しい発見した。
次々に欲しくなりそうで危ないくらいでした。
仕立て直しを決意
せっかく私のもとにやってきてくれた本場奄美大島紬。
いつかは欲しいと願っていた着物です。
ここはひとつ思い切ってお直しすると決意しました。
胴裏を正絹に、八掛をおとなしい赤に
まずは胴裏を正絹に替え、八掛はおとなしい赤に替えます。
胴裏は少し余裕のあるときに特価品を買い置いていたもの。
八掛は洗い張りものですが状態の良いものです。
同じ赤ですが少し抑えた雰囲気になると思います。
本当はもっと黒っぽい赤が好きだけど、手持ちのものを利用しないともったいないので少し妥協しました。

洗い張りはしないという選択
次に考えることは、裏を替えるだけにするのか、洗い張りまでお願いするのかということ。
オークションで手にいれたものだから、この着物がこれまでどのような環境に置かれていたのかわかりません。
凄く大事にされていたのかもしれないし、カビだらけの着物の下に置かれていたのかもしれない。
ネガティブな想像を始めてしまうと洗い張りしたくなっちゃうけど、触って羽織ってみた感じでは、リサイクルにしては臭いもなく状態が非常に良いと感じましたので、自分の感覚を信じて洗い張りはせず、裏を替えるだけにしようと決めました。
私のこれまでの(しょぼい)経験上、一度水をくぐってしまうと強度が少し落ちたように感じるケースが多かったので、いくら水に強い大島とは言っても、未着用で汚れてもいない着物を水に浸けることに抵抗感があったのです。

、
仕立て屋さんとの出会い
洗い張りをしないとなると、いつも仕立てを頼んでいる楽天市場のショップはクリーニングの専門店なので頼みづらい気がしました。
洗い張りを強力にお勧めされたら面倒だわと思ったのです。
断りづらいし、私の性格からいって押し切られてしまう。
それだと、金銭的負担も大きくなります。
ここは新しい出会いを求めてみようということで検索して、「GOKIGEN」というショップを見つけて発注。
ほどくだけで洗い張りはしないという希望にも快く応じてくださり、お値段も良心的でした。
とても親切で雰囲気も良く、値段も良心的でパーフェクトな対応。
良いお店に出会えたとよろこんでいたのですが、今現在探してみても見当たらないのですよねぇ。
良い仕立て屋さんは着物好きにとって財産なのですごく残念です。
裏って大事と実感
裏って大事ですね。
凝った柄のとっても良い大島紬なのにテキトーな裏を付けたばかりに着物の価値を思いっきり下げてしまう。
安く売られてしまう運命に陥ってしまった着物がかわいそうに思えました。
ワタクシのような着物好きのところにやってきてあなたよかったわねぇと恩着せがましく大島紬に話しかけながら、たくさん着ようと心に誓いました。
仕立て上がって思うこと
仕立て直した泥大島はいま、私にとっては完璧な状態で手元にあります。
最初に手にしたときは正直なところ、失敗したかなぁという思いもありました。
仕立て直しという手間とお金がかかることになったので。
ちょっとした罪悪感もあったかな。
でも今はたとう紙を広げると、嬉しい気持ちがわぁっと湧き上がってきます。
好きな模様の本場奄美大島紬。
ジャストサイズで仕立て、納得して付けた裏地。
裏を正絹に替えたことで着物としての格がぐっと上がったし、一生このままで行けるわと思っています。
自分の手で価値ある一枚に育て直したという達成感もあります。
これらは自分で決めて実行したからこそ得られたもの。
最初に感じた罪悪感はもう払拭しようと思います。
そして「初めて袖を通す日」を嬉しい気持ちで待っている。
そう、まだ一度も着用していないのです。
仕立て上がってすぐの着物は、しばらくはそっと動かさない主義。
裏と表をしっかり添わせるためにはそれが必要な気がして。

泥大島と八掛みたいな色合いでこの着物とのご縁を感じました。
秋が来たら着ようと思っているうちにすぐ冬になるというパターンが続き、今秋もチャンスをのがしてしまいました。
真冬になってしまったけれど着てみようかしら。
それならコーディネートをちゃんと考えないと。
軽い気持ちで落札した着物にヒヤッとさせられましたが、結果オーライです。
手も思いもかけた着物が1枚、また増えました。
宝物です。

この泥大島に似合う帯をさがしてみました
✨この泥大島に似合いそうな帯を探してみました。
↓京都きもの市場さんのムガシルクの帯。八掛に近い色味がよく映えそうです。
↓こんなシックなクリスマス柄なら泥大島にあわせられると思います。
↓こちらは本泥染め袋帯です。泥染め同士の深みを楽しむコーデになりそう。
↓こちらも泥染めの袋帯です。道長どりの模様があっさりしつつ動きもあって、着物の模様とかぶらないのでぴったりだと思います。


コメント