大島紬と赤い八掛──似合う色を選ぶということ

リサイクル着物の楽しみ

大島紬の八掛を選ぶとき、私は長いあいだ同系色にするか、好きな赤にするかで揺れていました。
赤い八掛は古い、派手、時代遅れ──そんな声を耳にすることがあり、「無難に同系色を選んでおけば間違いがないのかな」と迷っていたのです。

けれど、実際に同系色にしてしっくりこなかった経験と、 先日目にしたある装いが、その迷いを静かにほどいてくれました。

今日は、大島紬と赤い八掛のこと、そして“似合う色を選ぶ”ということについて書いてみたいと思います。

大島紬に赤い八掛という選択

今の流行では、赤い八掛は「古い」「昭和っぽい」と敬遠されがちですよね。
きもの雑誌でも、地色と同系色の八掛や、ニュアンスのある控えめな色が よく勧められています。

同系色か、好きな赤かで揺れていた頃

仕立て直しの際に同系色の紺を選んだ大島紬
落ち着き過ぎて、すごく寂しい印象になってしまいました

この大島紬を手に入れたのはリサイクルでした。

梅模様が織り出され、赤い八掛が付いていて、試着したときの顔映りもとても良く、 「これは似合う」と素直に思えた一枚でした。

ただ、寸法が大きくて着付けがしづらく、 思い切って仕立て直しに出すことにしたのです。
そのとき、八掛をどうするかで揺れました。

同系色の紺にするか、もともと付いていた好きな赤を残すか。
「赤は古いのでは」「今風にするなら紺のほうが素敵なのでは」と迷いながら、 結局、同系色の紺を選んでしまいました。

仕立て屋さんにも「紺の紬八掛でお願いします」とだけ伝え、 色を選ぶ楽しさを自分で手放してしまったのです。


仕立て上がりを見た瞬間の落胆

仕立て直しをお願いしてから、出来上がりを心待ちにしていました。
たとう紙を開く瞬間の、あのわくわくする気持ちは今でも覚えています。

けれど、目に飛び込んできたのは、 思っていたよりもずっと地味で、どこか淋しい印象の大島紬でした。

同系色の紺を選んだことで、全体がすっきりし過ぎてしまい、 私の中にあった“今風に素敵にしたい”という思いとは、違う方向に行ったしまったのでした。

もともと付いていた赤い八掛は、 紺の地色を生き生きと見せ、顔映りも明るくしてくれていました。

試着したときに「似合う」と感じたあの印象が、 八掛を変えただけでこんなにも薄れてしまうとは思いもよらなかった…

八掛選びは難しい── 痛感した瞬間でした。

再び大島紬で―あえての赤い八掛

同系色の紺を選んだことで、思っていた以上に地味になってしまった大島紬。

「似合うと思った赤を、どうして素直に選ばなかったのだろう」
そんな後悔と残念な気持ちを、着用するたびに抱えてしまって、お気に入りの梅模様の大島がかわいそうになるような、鬱屈した気持ちを抱えてしまいました。

その反省があったので、別の大島紬を仕立て直す必要がでたときは、迷わず赤い八掛を選びました。

模様の赤と響き合う、少し落ち着いた深い赤。
自分の顔立ちにも馴染み、着たときの表情が明るくなる色です。

先日、賀来千香子さんの大島紬×赤のコーディネートを拝見し、 その美しさに感嘆して、大島紬×赤のコーディネートはやはりいいものだな、私があえて赤い八掛を選んだのも間違いではなかったと、勇気づけられました。

「赤は古い」と言われることがあっても、 私にはこの赤がしっくりくる。
そう素直に思えるようになりました。

自分に似合うと信じて付けた赤い八掛。紺の地色をやさしく引き立ててくれます。

顔映りの良さと、自分に似合う色

赤い八掛を選び直した大島紬を着たとき、 鏡に映る自分の顔がとても明るく見えました。

「赤は古い」とよく言われていますが、自分の顔立ちや雰囲気に合う色は、人それぞれ違います。

現代的でクールなコーディネートが似合う方を見ると 羨ましく感じることもありますが(笑)
私は赤が入っているほうがしっくりくる。

無難さや流行に合わせるのではなく、 “自分に似合う色を選ぶ”ということの大切さを、 この大島紬が教えてくれたように思います。

春は大島紬の季節ですよね。
艶のある地風が春の陽ざしによく映えます。

ここ北海道もいよいよ春が目の前です。
空の明るさ、輝きに胸がおどります。

おまけ

ここで、八掛の話題を少し。

最近の私は、新品の八掛をショップで買い求めたことがありませんでした。
以前買い置きしておいたものや、洗い張りに出した着物についていた八掛を使いまわしていたので、買う必要がなかったのです。

上記の大島紬に紺の八掛を付けたときも、仕立て屋さんにおまかせでしたので、購入したという実感がなくて。

今回改めて探してみて、八掛もずいぶん値上がりしたのだなと感じました。

2000年前後には、1万円あれば十分に良いものが買えた記憶がありますが、 今は下にご紹介したくらいの価格が“標準”になっているのですね。

こちらの質の良い八掛と、 少し手頃な価格帯のものを両方並べてみました。 比べてみるだけでも、選ぶときの参考になると思います。




八掛を替えるタイミングは、着物まわりを見直す良い機会でもあります。
以下は七緒のオンラインショップからのご紹介です。

🍀きものサイズのハンガーラックは私もずっと気になっている道具のひとつです。 着物用に特化したハンガーラックで、高さが190cmあります。 裾が床につかず、風を通したいときにも安心です。 下のバーには帯を干すこともできるそうで、 和室のないマンション暮らしの方には特に便利だと思いました。 15900円と少し大きめの買い物ですが、 着物まわりを整える道具として、いつか迎えたい一つです。
七緒オンラインショップはこちら
トップページ上部の「収納・お手入れ」から「ハンガーラック」を選ぶと見つかります)

コメント

タイトルとURLをコピーしました