入学式や卒業式の着物選びで、 「これで合っているのかな」と不安になる人は多いと思います。 SNSには“正解コーデ”があふれ、 濃い色はダメ、淡い色が正解── そんな言葉が、若いお母さんたちを追い詰めているようにも見えます。
でも、本当に着物に“正解”なんてあるのでしょうか。 その疑問を強く意識したのは、 ある小さなコメントと、インスタの投稿を見たときでした。
小さなコメントに揺れた気持ち
きっかけは、ヤフーの記事でした。
グレーの裾模様の訪問着に、白地に金銀の模様が入った袋帯をお召しの方の画像が目に入り、 記事を読み始めたのですが──
「帯締めが留袖用に見える」という短い一文があり、共感するが1ついている。
たったそれだけの短いコメントに、思いのほか心がざわつきました。
私はこのアメブロでも別ブログでも、白の帯揚げ・帯締めについて記事を書いていて、 驚くほど多くの方に読まれています。 白をカジュアルに取り入れる方法や、 カジュアル向きの白小物の選び方、 そして「留袖用の白い帯締め・帯揚げは、セットで使わなければ、 ある程度の格のある場面で使えるのでは」という方向性を提示してきました。
調べて書いたし、そんなに間違ったことは言っていないという確信もありました。 けれど、あの軽い指摘のヤフコメに、 自分でも驚くほど動揺してしまったのです。
もしあの方が私の記事を読んで実践していて、 あのコメントをつけられていたらどうしよう── そんな不安が胸を締めつけました。 こんな辺境のブログですから、 私の記事を読んでいる可能性はほとんどないと分かっていても、 「ネットに文章を出す責任」の重さを痛感してしまい、 ブログなんてやめてしまおうか、と真剣に考えたりもしました。
SNSにあふれる“正解コーデ”という空気
その気持ちのまま、今度はインスタを開いてみました。 私はインスタに慣れていなくて、操作もおぼつかないのですが、 検索窓に「卒業式 着物」と入れてみると── 出るわ出るわ、着物の投稿の数々。
ブログで発信しているのに、 トレンドを追う努力をしてこなかった自分を恥じつつ、 投稿を見始めたのですが…… すぐに怒りのような感情が湧き上がってきました。
「卒業式コーデ、これが正解」 「紺の訪問着は×、ピンクは○」 「淡い色を選ぶべき」 「NGコーデとOKコーデ」
まるで“正解と不正解”が存在するかのような投稿が並んでいます。
さらに、 「子どもが主役なのにママが着物なんて」という論争まで。 これを若いお母さん方が見ているのかと思うと、 暗い気持ちになりました。
こういう投稿があふれる世界に、 私はどうしても生きづらさと違和感を覚えてしまいます。
着物に“正解”はあるのかという問い
私はきものが大好きだけれど、 着物って、しょせんは衣類です。 衣類に絶対の正解なんてあるのでしょうか。 正解があるなら、みんな同じにすればいい。 そんな世界はきっと息苦しい。
実際に卒業式や入学式の場に行くと分かりますが、 学校や地域によって雰囲気は全く違います。 濃い色がダメ、淡い色が正解── そんな単純な話ではありません。
それに着物の色が濃ければ派手、淡ければ控えめって誰が決めたんでしょう?
少なくとも私はそういう区別の仕方は知りませんでした。
子どもたちが制服の場合もあれば、 女子が袴や着物の場合もある。
着る人の年齢や雰囲気、家族の思い…… そのすべてが装いに影響します。
誰かの“正解”が、別の誰かの“正解”とは限らない。 人生って、いつもそういうものじゃないでしょうか。 それをわかったうえで労りあいながら生きているものではないのですか?
私は、晴れの日に向けて、 着物でも洋服でも、思いを込めて選んだその人の気持ちを まず大切にしたいのです。 評価なんてしたくない。 論じるつもりもない。
帯が上品で素敵だな。 白の帯締めは式典らしくて清らかだな。 家族のために丁寧に整えて、この日を迎えたんだな。
それで十分じゃないですか。
私はそういう視点で着物を見たいし、 そういう視点でブログを書いていきたいのです。
着物を難しいものにしたくない。 着物のある世界は、優しい世界であってほしいのです。

≪関連記事≫


コメント