最近、タイムラインで「着物警察」の話題をよく見かけます。
それを読んでいるうちに、ふと自分の体験を思い出しました。
ひどい出来事というほどではないのですが、 今も胸に残っている、あの日のこと。
初めての単衣での外出で
着付け教室に通い、なんとか一人で着られるようになって、 少しの緊張ととも向かった先は美術館でした。
展示室に入る前に、着姿を確認しようとお手洗いへ。
鏡の前に立ったとき、年配の女性が近づいてきて、 小声で何かを話しかけてきました。
「お襦袢がちがっていて、今の季節は……ほにゃらら……」
私は生まれつき難聴があるので、 その方の言葉がよく聞こえませんでした。
「はい?」と聞き返したところ、 その方は私が気を悪くしたと思ったのか、 もごもごと言いながら去っていきました。
はっきりとは聞き取れなかったけれど、 少なくとも褒めてくださったわけではなかったな、と。
どこがそんなにおかしかったのだろう
その日は6月。
着物は単衣小紋で、帯は博多八寸帯(スリーシーズンのもの)
絽の長襦袢に絽半衿という装い。
おそらく、 「単衣の着物には透けない単衣の長襦袢を合わせるべき」 というようなことを言われたのだろうと推察しています。
もしかすると、 「半衿は楊柳にすべき」という話だったのかもしれません。
でも、そこってそんなに重要なんでしょうか。
ただの街へのお出かけですし、 北海道の6月は晴れるとけっこう暑い。
絽の長襦袢や絽半衿のほうが快適なんです。
そもそも長襦袢の“単衣・袷”って曖昧ですよね。
袖が無双か一枚かの違いだけで、 身頃は単衣仕立てのものも多い。
私の冬用長襦袢は、袖は無双でも見頃は単衣仕立てで、居敷当てを肩まで当てています。
半衿に関しては、単衣の季節は楊柳が絶対というわけではなく、 気温に合わせて絽を使う人もいます。ちなみに帯揚げ帯締めは絽ではありませんでした。
街着なら快適さを優先していいはず。
あの日の装いが そんなに非常識だったとは今でも思えません。
それでも、見知らぬ人に 「下着のこと」を指摘されるのは、やっぱり堪えます。
洋服ではまず起こらないことですよね。

どこかダメだったのだろうか?
今でもよく分かりません。
当時の私は今よりずっと若くて繊細で、 この出来事は思った以上に心に残りました。
着物のことを考えるのは好き。
難しいけれど、ときめく。
人に見せたいわけではなく、 ただ自分が好きで着ているだけ。
それでも着物という衣服には、 ただ好きなだけでは済まない“何か”があるらしい。
人の心をざわつかせる何か。
私は、他の方の着方を見て 指摘しようと思ったことは一度もありません。
素敵ですね、と声をかけたことはあるけれど。
あの日の出来事は、 「着物を着るって、こういうこともあるんだな」と教えてくれた体験でした。

とくに夏小物の魅力には抗いがたい。
おまけ
今回の記事で触れた絽の長襦袢を、参考までにまとめておきます。
単衣の季節に備えるなら今がちょうどいい時期ですね。
色や素材の違いを見比べてみてください。
🍀夏の長襦袢として人気の高い「爽竹(そうたけ)」。 自宅で洗えて乾きも早く、汗ばむ季節でも気軽に使えるのが魅力です。 竹繊維のひんやりとした肌ざわりで、単衣の後半から盛夏まで涼しく過ごせます。 絽よりも透け感が控えめで、薄物の下にも合わせやすい長襦袢です。
🍀爽竹には白以外に色物の展開もあり、濃色は特に人気で欠品している色もありました。 単衣の季節の暑い日には、薄物の着物に濃い色の長襦袢を合わせて、薄物の透けを控えめにするという着方もあります。
🍀洗える紋紗の二部式長襦袢。 単衣の後半から夏まで落ち着いた着姿に整えてくれます。 軽くて涼しく、自宅で気軽に洗えるので、汗ばむ季節の長襦袢としてとても便利です。 サイズ展開が豊富で、自分に合う一枚を選びやすいのも安心ポイント。レビューも良好で、★4つの評価が付いていました。
🍀麻の長襦袢は、糸が太めだと生地がしっかりしていて、 真夏には少し暑さを感じることがあります。 その点、この滋賀麻は80番手の細い麻糸で織られていて、 軽くて風が通りやすく、肌当たりもやわらかい質感。 細番手ならではの涼しさが期待できる一枚です。


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