書評:『清野恵里子のきものの愉しみ帯あそび』|灰白色の帯揚げが教えてくれた“微差がもたらす美”

おすすめ本の紹介

図書館で借りてきた 『清野恵里子の きものの愉しみ 帯あそび』
たまたま借りようとした本の隣にあって、表紙のコーディネートに惹かれたから借りてきたのですが、これが大変な“当たり”

思いがけず、無限に夢中でページをめくり続けることになりました。
開いた瞬間から、 「読む」というより “見続けてしまう” 本なのです。

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書 名   清野恵里子のきものの愉しみ帯あそび
出版社   集英社
発売日   2012/3/31

  

80もの古布を用いた帯合わせに圧倒される

きものに帯をのせ、 帯揚げと帯締めを添える。
その取り合わせが、 写真と短い解説で紹介されていきます。

きものは結城紬や大島紬が中心。
そして帯は、なんと古布なのです。

『古民藝もりた』さんの提供によるもので、 日本だけでなくインドネシア、中国、ラオス、トルコなど、 アジア各地の木綿や古い布が帯として登場します。

おぶい紐だったり、トルコのシーツだったり。
それが、きものの上で驚くほど美しく息づいている。
「こんな世界があったのか」と 目を開かされる思いでした。

灰白色の帯揚げが“現代的な表情”をつくる

特に心をつかまれたのが、 帯揚げの色の使い方

清野さんは、 “灰白色”の帯揚げをよく使われています。
白に見えるのに、 よく見ると 青み赤み が潜んでいる。

たとえば表紙のコーディネート。

  • 藍の十字絣の結城紬
  • 茜の鬼更紗の帯
  • 青味の灰白色の帯揚げ
  • 栗梅色の帯締め

この組み合わせが、 静かで、凛としていて、 どこかスタイリッシュで。
同じ茜の鬼更紗でも、 白の綿薩絣に合わせたコーデでは 赤みの灰白色 を使っていて。
この“ほんの少しの違い”が、 驚くほど印象を変えるのです。

清野さんは灰白色の帯揚げについて、 「出番が多く、どことなく現代的な表情を添えてくれる」 とおっしゃっています。

コーデをしているときに、目指した取り合わせにほんの少しの違いでちょっぴり届かないと感じることが多かったので、京都の友人を通じて白生地を扱うお店に、染めをお願いするようになったそうです。

そうすることで得た収穫は、“灰色のグラデーション”が非常に使えるという手ごたえでした。

私が染めていただいたのは、かすかに赤みを感じる灰白色と、青みの灰白色、薄墨色、鈍色の四色です。この四色のいずれかを帯揚げに使うことで、取り合わせにモダンなニュアンスが加わることをたびたび実感しています。(118ページ)

本書を繰って次々に立ちあらわれる古布の帯と着物、小物のコーディネートを見ていると、帯揚げ帯締めの役割は絶大であること、そして、灰色のグラデーションの持つ強い力が、すとんと胸に落ちるのです。

自分の帯揚げ選びにもつながる気づき

実は私も、 帯専門おびやさんの 青みの灰白色 を持っています。
夏大島に赤い帯を合わせたくて、 赤みにするか青みにするか迷いに迷って、 最終的に「紺のきものだから青みかな」と選んだもの。

🍀おびやさんの帯揚げ(夏物)


生地はしっかりしているのに、サラっとして軽やか。
夏の大のお気に入りです。
これがあるから夏の着物を楽しめるみたいな。

そして、今回この本を読んで。
赤みの灰白色も欲しくなってきました。
というのも。

きなり色の紗の着物をもっているのですが、こちらにはなんとなく赤みが合うかもしれないと思ったのですよね、唐突に。
論理的には説明できないのですが、ページを繰り続けるうちにイメージが立ち上がってきて。

良いものにふれ続けていると、感覚的に急に勘所をつかめるような感じって、誰でもあると思うのですが、啓示が舞い降りたようなそんなひらめきが湧き上がってきて。

“微差がもたらす美”に気づけたのは、 この本のおかげです。

きものの愉しみは、微妙な色の違いに宿る

本書のコーディネートは、 派手さではなく、 わずかな色の違いがつくる奥行き を教えてくれました。
まさに“神は細部に宿る”で、あとほんの少しの違いが、ものすごい効果を生む。
そのことを、写真で示してくれるのがこの本の最大の魅力。

きものと帯、 帯揚げと帯締め。
相関関係を丁寧に見つめることで、 きものの世界はこんなにも豊かになるのだと あらためて感じました。

“きものの愉しみ 帯あそび”
次はどんな素敵コーディネートが姿をあらわすのか、どきどきしながら読み進めました。
タイトルどおり、まさに愉悦の一冊 なのでした。

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今日の着物まわりメモ

🍀表紙に使った栗梅色の帯締めとは組が違いますが、 色の参考になさってみてください。こちらは道明の中古品(未使用)です。


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