まだ一度も締めていない藤の花が描かれた帯があります。
私は藤の花が大好きで。
それに、『源氏物語』第33帖「藤裏葉」で、夕霧が雲居の雁との仲を右大臣(かつての頭中将)から結婚を許される藤の宴のシーンと和歌が大好きで。
春に遅れて咲くつつましやかな、でも限りなく優美な花。
帯でどうしても欲しくて、私でも手が届く範囲で手にいれました。
ですが、大事にし過ぎてまだ一度も締めていないのです。
こういう写実的な帯は、締め時が難しいもの。
盛りと咲いているときは避けた方がいいという方もありますが、個人的にはそんなことを言っていたら締め機会がないかも……
事実、時期を見計らっているうちに、今年も機会を逃してしまいました。
来年こそ着用しようと決心して、その時のために真剣にコーディネートを考えようと思います。
今日の記事では、着物の候補をあげながら今後のコーディネートを考察し、着ようと思い立ったときにいつでも着られるよう情報を整理していきたいと思います。
濃紺大島紬
私の街(北海道)で藤の花が咲き出すのは、だいたい5月下旬。
今年のように温かいと、もっと早く満開になります。
6月上旬でも花は残っていますが、基本的に晩春の花だと思うので、今回は袷に締める前提で考えたいと思います。
晩春の着物で春の光と相性が良いおしゃれ着の代表格は大島紬でしょう。
ほとんど初夏といってもいい季節なので、ほっこり系の紬は暑さを考えると避けたいところ。
最初に合わせたのは、濃紺の大島紬。
春に軽くて、季節に映える一枚です。

けれど、どうも“しっくりこない”。
悪くはない。
でも、良くもない。
うまく言語化できないけれど。
小物選びの迷いと、最終的に馴染んだ色
しっくりいかないという思いを抱えたまま、それでも大島紬にこだわる私。
軽いし着ていて楽だし。
初夏ともいえるこの季節に安心して着られるのはやっぱり大島紬な気がして。
小物でなんとかしていく方向で考えます。
帯揚げと帯締めもいろいろ試してみました。
- ブルーグレー:落ち着くけれど少し地味
- シルバーグレー:華やかで帯の優美さとはあっているけど着物との調和がいまひとつ
- 藤色×クリーム:帯の世界観に寄り添う
最終的に馴染んだのは、藤色系の小物でした。
藤の花の帯には、やはり“藤色の気配”が必要なのだと感じました。

スワトウ刺繍の藍染小紋
洋服の世界では、濃紺とピンクの相性は良いですよね。
私の就活用スーツは濃紺のダブルのスーツに薄いピンクのシャツで、なかなかいい感じだったし。
っていつの話?
もう30年以上前の話(笑)
でも、濃紺×ピンクの組み合わせは好きで、50代になった今でも着ています。

それでこの着物を思いついたのですが。
こちらもどこかちぐはぐ。
色はあうはずなのに、藍はベタッとして見えるし、ピンクは浮いているし。
これはどう考えてもダメそう。
真夜中のコーデ再考
やはり大島紬の方がいいよねと納得し。
その日は就寝したのですが。
ベッドに入って眠りが訪れるまでの間にコーデのことを思い出していたら、ふと気づくことがあって。
気になって仕方ないので起き出し、和室で帯と着物を広げて再考してみたのです。
そこで、はっきりと気づきました。
「私の濃紺大島では、藤の帯の雰囲気に合わないのでは?」と。
大島のすっきりとした粋と、藤の花の湿度を含んだ優美さ。
方向性がまったく違うのではないかしら。
これが白大島とかだったら、また結果は全然違うのだろうけれど。
そこで取り出したのが、藤色に寄る染めの小紋。
広げた瞬間に「こっちの方がいいかも」と思いました。
- 花の藤色に近い色調
- 優美でしっとりした雰囲気
- 染めならではの柔らかい世界観
帯揚げには私の顔によく映る濃紺を入れて。
帯締めは季節感を考えて少し軽い色に。
すると、ブルーベースが似合う私に引き寄せながら藤の帯がすっと馴染み、これなら “晩春の情緒”が表現できる気がしてきたのです。

結論:藤の帯は“色合わせ”より“世界観合わせ”
今回の気づきは私にとって、とても大きなものでした。
藤の帯は、色よりも“世界観”で合わせる。
- 粋寄りの濃紺大島紬よりも湿度と陰影のある着物
- 優美さを含んだ雰囲気
- 藤色に寄る色調
こうした要素が揃うと、この帯はしっとりと馴染みそう。
季節の帯は難しいけれど、 だからこそ、うまく合ったと思えたときの喜びはひとしお。
来年こそ、この藤の帯を締めたい──
そんな気持ちが、ひたひたと湧いてきました。
関連リンク
🍀こちらの藤の帯は、私が持っているものの色違い。優美苑さんのグレーです。
染め帯ですが、生地は織地でしっかりしていて、塩瀬のような柔らかさよりも、少し張りがあって締めやすい印象。
藤の花の線が細く、淡い色づかいがとても上品な一本です。
🍀白地に金魚の手描きが涼しげな夏帯。
白地は少し気を遣いますが、そのぶん“光を含むような明るさ”があり、 単衣から盛夏の装いをすっと軽く見せてくれるのが魅力です。
正絹の紗絽でお仕立て付きという点を考えると、価格もとても良心的。
金魚の線が細く、夏の着物に清涼感を添えてくれる一本です。
🍀藤の帯を締める季節は、夏物を少しずつ準備し始める時季でもあります。
これからの季節に向けて、夏の小物をいくつか選んでみました。
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