高田 郁 著『晴れときどき涙雨 高田郁のできるまで』書評|人としての優しさが滲むエピソードが心に残る

書評

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ドラマ『あきない世傳 金と銀』があまりにも面白くて、原作を読もうと思って図書館へ向かったのですが、残念ながらすべて貸し出し中でした。

諦めきれずに、書棚の前をウロウロして探し出しのがこの一冊──
『晴れときどき涙雨 高田郁のできるまで』でした。

枕元に置いたその日から読み終えるまで、私のベッドタイムは非常に豊かなものとなったのでした。

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本の概要

この本は、高田さんが漫画原作者「川富士立夏」として活動していた時期から、 時代小説家へと変身していく4年間のエッセイをまとめたものです。

時代小説を志してから初めて賞を取ったときの喜びや、交通事故の後遺症に苦しんだ日々など、人生の明暗がそのまま文章に刻まれています。

心に残ったエピソード

読んでいて強く感じたのは、 高田さんの“人としての優しさ”がどのエピソードにも滲んでいること。

  • 夜間中学に通うおばあさんとの交流
  • 転倒した老婦人を助けた話
  • 涙を流す少女に寄り添う若い女性の姿
  • 理不尽ないじめの過去と向き合う話

どれも静かで、あたたかくて、 読んだあとに清々しさが残る、そんな内容です。

真っ暗な寝室で眠りに向かうひとときに、心あたたまる物語に触れる時間はとても豊かなものでした。

ニュースを見るとなんともやりきれないニュースが多い今の時代。

脳裏に刻まれるのは、不安をあおるものや、恐怖を覚えるものばかりですが、そうした日々にこの本は、市井に生きる人々の温かさや思いやりを思い出させてくれる。

生きていくって大変だけど、世の中は捨てたものではない――
そんなことを静かに思い出させてくれる一冊でした。

ベッドタイム読書に向いている

一話が短く、眠りに落ちるまでの短い時間で読み切れるので、 毎晩の小さな楽しみになりました。

長編小説を就寝前に読んでいると、眠たくなったころの記憶があいまいで、翌日どこまで読んだかわからないということが起こりがち。

でもこのエッセイなら、その心配がありません。

文庫版との違い

読み終わって読書記録をメモし始めてから気づいたのは、この本には文庫版があるということ。

私が図書館で借りたのは単行本でしたが、こちらと文庫版では内容が大きく異なるようです。

2012年の単行本とは発行元も内容も異なる文庫版は、単行本発行後の“9年間の出来事”が加筆されているとのこと。

これから読む方には、文庫版のほうが情報量が多く、おすすめです。

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こんなひとにおすすめ

関連リンク

🍀文庫版『晴れときどき涙雨 高田郁のできるまで』は、 2012年刊行の単行本に その後の9年間の出来事が加筆された、内容の充実した改訂版 です。

漫画原作者「川富士立夏」から時代小説家へと歩みを進める日々に、 新たに書き加えられたエピソードが重なり、 高田郁さんの創作の原点や人柄がより深く伝わる一冊になっています。

これから読む方には、 情報量の多い文庫版のほうが理解が深まり、読みごたえがあります。

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単行本は文字が大きく、読みやすい一冊です。
まずは軽いボリュームで、高田郁さんの世界が自分に合うか試してみたい方に向いています

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高田郁さんの世界をもっと深く味わいたい方には、『あきない世傳 金と銀』の書評もあわせてどうぞ。
現在は第2巻までですが、幸の歩みを丁寧に追っています。

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